「今度の短編集企画の中で、ひとつ、実験作品みたいなものを撮りたいんだけど・・・」短編集の企画会議の時、監督の新井から、こう話を切り出されたのが「3:00」の始まりでした。「実験作品って、どんなん?」僕は返しました。「例えば、5分位の作品で、1シーン・1カットもので、」「ふむふむ。」と僕。「例えば、1部屋の中での何気ない1コマを、固定カメラでず〜っと撮っているみたいな、」「ははあ。」「でも、実はその部屋の外では、なんかスゴい事がおきてたりする様な・・・」「なあるほど」新井と映画を作る時は、こんな風に話が進む事が多いのですが、中々このやり取りが、そう、面白いのです。なんと言うか、親子のキャッチボールみたいで。初めは普通に投げ合っていたものが、だんだんアチコチに逸れたりゴロになったり、フライになったり。今回の「3:00」に関しては、彼のアイディアで最終的には「1部屋」が「海岸」になり、「5分位」が「3分」になり、挙げ句の果てには背景が「CGモノ」になったり・・・。最後は真剣に投げ合ってたりもしますが。彼とのキャッチボールは、ホント、面白いです。
しかし、CGモノを作るのには、新井はあまりに素人だった!!!CGを合成するには、それなりの段取りが必要なのに、その考え方が甘かったのです。テスト撮影をして、仮編集をしていた彼がポツリ。「あれ?うまく合成できない!」ただ、ブルーバックで撮影すれば合成できると思っていたらしく、全然CGが合成できません。結局、新井は照明から、カメラのノウハウから、編集技術までを一から勉強する事となりました。そして、僕もそれに付き合わされるのですから、もう大変です。おかげで作品が完成する頃には、二人ともいっぱしのCG屋になった感じでした。「3:00」の製作には、新井の良い面、悪い面がハッキリでています。製作スタッフとうまくやり取りをしながら進めて行くのですが、一方で、考えが足らない。でも結局、僕が最後まで付き合ったのは、キャッチボールが面白いから。新井監督との仕事は、だから疲れる。やれやれ。 |